SSブログ

地獄門 [日本映画 名作クラシック]

☆地獄門
(1953年製作 衣笠貞之助監督・脚色、撮影:杉山公平、音楽:芥川也寸志、原作:菊池寛、色彩指導:和田三造
長谷川一夫、京マチ子、山形勲、黒川弥太郎、田崎潤、千田是也、南美江、荒木道子、清水元、坂東好太郎)
     
剛腕で鳴らす武者が、見初めた人妻を強引に自分のものにしようとすることから、起こる悲劇を描く。
長谷川一夫、京マチ子、山形勲が、平康の乱の時代を背景に描く、歴史絵巻。

製作は大映で、初のイーストマンカラー(アメリカコダック社開発)を使用した映画で、大映初の総天然色映画として公開された。この映画は、カンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)を受章し、アカデミー賞名誉賞(外国語映画賞)、衣装デザイン賞を受章し、他の映画賞でも数多くの賞を受賞している。

簡潔な映画で、構成力が優れている。いたずらに長くする必要はなく、89分の上映時間も程よい長さ。
恋い焦がれる盛遠役を長谷川一夫、その相手、袈裟役は京マチ子、その夫渡辺渡役は山形勲が扮し、豪華なきらびやかな衣装に身を包み、スタジオ撮影の美術や装飾など、平安時代の雰囲気を見事に出している。

袈裟の夫への献身、独りよがりで身勝手な盛遠、控えめで思いやりの深い渡を描くことで、人間の普遍的な心の在り方、社会秩序の維持などを問いかける。
非常に日本らしい作品で、“和の美”が凝縮された映画となっている。

映画冒頭の叛乱の場面から、映画に引き込まれる演出で、見事な場面展開を見せる。物語のエピソードの積み重ねもわかり易く、良い映画は見応えもあるが、観やすい。60年以上前の映画だが、デジタルリマスター版での画面は、くっきりと美しく、色彩が見事で、衣笠流の様式美が冴える。

衣笠貞之助監督は、時代劇が多く、長谷川一夫と多くの作品を残している。日本作品のカンヌ国際映画祭でのパルムドール受賞作品は、26年後の「影武者」まで、待たなければならないという歴史的な名作でもある

“毎日が映画日和” 90点

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。