SSブログ

切腹(小林正樹監督) [時代劇の名作の1本!]

☆切腹
(1962年製作 小林正樹監督、脚本:橋本忍 音楽:武満徹 撮影:宮島義男 原作:滝口康彦
仲代達矢、石浜朗、岩下志麻、丹波哲郎、三国連太郎、三島雅夫、中谷一郎、佐藤慶、稲葉義男、青木義朗、井川比佐志、松村達三、小林昭二)
     
時代は、1630年、巷には食い詰め郎人が横行し、武家の屋敷を訪ねては
生活困窮のあまり、切腹するので軒先を借りたいと申し出ると武士の情けで何がしかの金銭を貰ったことから、多くの浪人が真似をするようになり、武家は困っていた。

そんな矢先、一人の武士(津雲半四郎)が、切腹のため軒先を借りたいと井伊家を訪ねたことから、
この物語は始まる。
カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞作品で、社会派監督として知られた小林正樹監督渾身の作品。
人の情け、建前と本音、武士の面子などが問われ、融通の利かない武家社会への痛烈な皮肉も込められた骨太の作品となっている。

時代劇らしく、後半迫力ある殺陣のシーンが、描かれる。丹波哲郎(当時40歳)演ずる沢潟彦九郎との一騎打ちのシーンは、剣客2人のそれぞれの構え、(流派の違い)が興味を引く。

最後の大立ち回りは、仲代達也の迫真の演技に圧倒されるが、この時30歳、「七人の侍」で、通行人の素浪人役を演じてから8年後である。濃いひげ顔で、貧乏浪人の役ながら、深い陰影を湛えた浪人役を演じ見応え十分。

三国連太郎(当時39歳)が、井伊家の家老斎藤勘解由役で、建前論を押し通そうとして、結局は優秀な部下たちを失ってしまう、指導者の懐の深さが問われるが、結局部下にしわ寄せが行く、サラリーマン社会と全く構図は一緒である。

娘婿が、困窮のあまり窮余の一策として、切腹を申し出てきたことを逆手にとって、切腹させるとさらし者にする。その上、竹光であることを揶揄し、竹光で切腹させる。“武士に二言は無い”との論法である。

そこには、何故の切腹か、金子に困っている理由は何か との問いかけもなく人の情けは無い。
義父の仲代達矢が、その復讐に立ち上がるという物語で、最後は壮絶な討死を遂げる。
暗い内容だが、重厚感に満ち、黒白画面が良く合う。
いろいろ考えさせられる映画で、133分の上映時間はあっという間に過ぎていく。

“毎日が映画日和” 85点

nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 1

サンフランシスコ人

7/31『切腹』をカリフォルニア大学バークレー校 (日本以上のノーベル賞受賞者を輩出している名門校)で上映...

http://bampfa.org/event/harakiri
by サンフランシスコ人 (2019-05-21 06:52) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。