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子連れ狼(第2作目)-三途の川の乳母車― [時代劇終焉時代の傑作]

☆子連れ狼(第2作目)――三途の川の乳母車――
(1972年制作、三隅研次監督、原作・脚本:小池一雄・小島剛 音楽:桜井英顕、撮影:牧浦地志、
若山富三郎、松尾嘉代、小林昭二、大木実、新田昌玄、岸田森、鮎川いずみ三島ゆり子、水原麻紀、富川昌宏)
 
  
子連れ狼第2作目で、従来我々が観てきた時代劇とは全く異質の映画がそこに
はあった。

長谷川伸原作の股旅物(中村錦之助に代表される)やその流れを組む「座頭市」
シリーズ、東映が主に制作した大岡越前や鞍馬天狗、早乙女主水助、銭形平次
やむっつり右門、若様捕り物帳など、個性豊かなキャラクターを前面に出した
オールスターキャストによる勧善懲悪物が中心で、1950年~60年代に掛け
て、大量に制作された。

映画会社が製作するプログラム・ピクチャーとして大衆娯楽の一翼を担った時
代劇も、テレビの普及と時代劇への慣れが、興味を失わせていたし、描かれる
スタイルが古く感じられたのかも知れない。

そんな矢先、約90分にまとめらスピーディーで、従来の時代劇の枠を超えた
ストーリー展開やダイナミックで過激な立ち廻り、母親が、柳生烈堂に殺され、残
された拝一刀と幼子大二郎の二人、刺客を生業として柳生烈堂への復讐を果たすべく諸国を
放浪するという、単純でわかり易い構図が最大の特徴である。

テレビデは、見る事の出来ない豪快で、荒々しい描写、血しぶきが飛び、手足
が飛び交う残虐なシーンや男女の裸での絡みなど、大人向けの作品となってい
て、製作の勝新太郎のセンスが感じられる。(この時期、勝新太郎も「御用牙」
という時代劇で面白い作品に主演・制作も担当している)

第2作では、前半、明石柳生鞘香(松尾嘉代)と公儀探索人黒鍬衆の頭領小角
(小林昭二)が、拝一刀を倒すべく結託し、壮絶な戦いが繰り広げられる。
明石柳生の一員に、売れる前の鮎川いずみが出演、女性だけの忍びという設定
で、松尾嘉代が好演。

後半は、四国阿波藩から、阿波藩の命運を握る男が江戸へ護送されるので、そ
の男を倒してほしいとの依頼を受ける。
たちはだかるのは、左弁馬(大木実)天馬(新田昌玄)来馬(岸田森)の存在
感ある3人の男優で、使用する武器も面白く、衣装も凝っている。

ある意味、スタイリッシュな映画で、時代劇シリーズの中でも、この「子連れ狼」
は、派手さと演出スタイルの両面で特異な光を放っている。

“毎日が映画日和” 70点


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コメント 1

サンフランシスコ人

『子連れ狼 三途の川の乳母車』.....2018年11月11日にサンフランシスコの映画館で上映..

http://www.roxie.com/ai1ec_event/staff-pick-lone-wolf-and-cub-baby-cart-at-the-river-styx/?instance_id=30478
by サンフランシスコ人 (2018-10-23 00:58) 

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