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奴らを高く吊るせ「Hang'Em High」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆奴らを高く吊るせ「Hang’Em High」
(1968年製作、テッド・ポスト監督、脚本:レナード・フリーマン、メル・ゴールドバーグ、音楽:ドミニク・フロンティア、撮影:リチャード・H・クライン、レナード・J・サウス
クリント・イーストウッド、インガー・スティーブンス、パット・ヒンクル、エド・ぺグリー、ベン・ジョンソン、ブルース・ダーン、デニス・ホッパー、L・Q・ジョーンズ、チャールズ・マッグロー、ルース・ホワイト)
   
マカロニ・ウェスタンで、人気復活のイーストウッドが、アメリカ復帰第1作として選んだ作品。
冒頭、牛と一緒にクリント扮するジェド・クーパーが、出てくる場面で、この作品がマカロニ・ウェスタンとは違うことが良く解る。
まず、数十頭の牛が群れを成していて、川沿いの緑が鮮やかな事、風景に潤いがあり、牛が出てくることはマカロニ・ウェスタンではほとんどない、ロケ地がスペインで埃っぽいマカロニの景観とは全く違うことに、気づかされる。

正統派の西部劇で、ネイティブ・インディアンのシーンがあれば、クラシックなウエスタンとなったことだろうが、今作は、主人公のクーパー(クリント・イーストウッド)が、リンチに遭い復讐を遂げるというスト-リーで、州自治が確立される前の法制度を主題に展開される。
名監督ラオール・ウォルシュの名作「牛泥棒」を彷彿とさせる場面も見受けられる。

絞首刑がショウアップされ、住民のストレス解消の場面として描かれ、16歳と18歳の初犯の兄弟も絞首刑にしてしまうという判事の決断の背景なども興味深い。
最初見たときには、単なるアクション西部劇と思っていたが、なかなかどうして、興味ある題材が描かれている作品だった。

監督のテッド・ポストは、テレに映画やテレビドラマでも監督として活躍し、クリントとは、ヒット作品「ダーティー・ハリー2」でもコンビを組んでいる。

元保安官ジェド・クーパー(クリント・イーストウッド)は、牧場で牛を購入し搬送中に、牛泥棒と間違われ、キャプテンと名乗る男をリーダーとする9名の男たちに取り囲まれ、説明の間もなく絞首刑として吊るされてしまう。通りかかったプリス保安官(ベン・ジョンソン)に助けられ一命を取り留め、フォート・グラントという町へ送られる。

濡れ衣だったことが解り、フェントン判事(パット・ヒンクル)の提案で、以前の経験を買われ、保安官として合法的に9名を探すことにする。
一人、2人、3人と追い詰めてゆくクーパー、9人組のリーダーだったキャプテンことウェイルソン(エド・ぺグリー)は、仲間を集め間違いだったことを悔やむが、仲間と一緒にクーパーを殺すことにする。背後から撃たれクーパーは負傷するが、傷が癒えたクーパーは、ウィルソンの牧場に立て籠もる一味を殺し、ウィルソンは自ら首を吊って死を選ぶ。

まだ法治国家として州の法整備が整う前の西部の町の裁判の様子や、フェントン判事(パット・ヒンクル)が法整備がされるまでは、俺が法律だと言う場面など事実そういう時代があっただろうと思わせるような展開である。
9人組の一人ミラー(ブルース・ダーン)を捕まえるエピソードや、仲間となって捕まる若い初犯の兄弟のエピソードなど、どこかほろ苦さを感じさせるスパイスも利かせ、テッド・ポスト監督快調な演出を見せる。

共演者も、パット・ヒングル(「ガントレット」「ダーティー・ハリー4」でも共演)、ベン・ジョンソン、インガー・スティーブンス、ブルース・ダーン、デニス・ホッパー(狂信者の囚人役)などバランスの取れた布陣となっている。
クリントは、この作品の3年後「ダーティー・ハリー」で一挙にスーパー・スターとなるのだが、クリントを語る時には、アメリカ復帰の記念すべき作品として永遠に語りつがれる作品となる事だろう。

”毎日が映画日和”75点


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