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乱れる [日本映画 名作クラシック]

☆乱れる(1964年公開 成瀬巳喜男監督、松山善三脚本、音楽:斎藤一郎
 撮影:安本淳  高峰秀子、加山雄三、三益愛子、草笛光子、白川由美、中北千枝子、北村和夫、藤木悠、浜美枝、浦辺粂子、清水元)
    
成瀬監督は女心を描く達人である。揺れる兄嫁の女心を高峰秀子に巧みに演じさせる。
当時の世相を映画に取り入れるのが、うまい監督でこの映画でもスーパーの進出を社会的背景として捉え、商店街の経営が厳しくなってくることを暗示している。店を仕切ってきた義姉と思いを寄せる弟との実らない儚い物語を描いている。

戦争で夫を亡くしたまま、嫁いだ先の店を取り仕切る義姉役を高峰秀子が演じ、思いを寄せる弟役を加山雄三が演じる、脇を名優たちが固める見応えのある作品である。
成瀬監督は、悲恋物が好きなのかこのところ見た作品は、結婚してハッピーエンドとか、主人公の男女が結ばれるということは無い。切ない余韻の残る映画ばかりである。

なかなかありえない設定ではあるが、加山雄三の若さゆえの一途さと、思いを寄せられ困りながらもまだ女を捨てきれない高峰の表情が切ない。揺れる心のまま一夜の宿を求めるが、それが思わぬ結果を招き人生とは皮肉なものだと言わんばかりである。

当時の山形県銀山温泉が、物語の最後の舞台として出てくるのが温泉好きとしてはうれしい。建物は、改築・新築で変わったが、雰囲気は今も当時のままであった。1955年に、高峰秀子と結婚する松山善三が脚本を書いている。
(その時の仲人が、作家川口松太郎と三益愛子夫婦である。)
“毎日が映画日和” 70点

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