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小さな巨人「Little Big Man」 [アーサー・ペン監督の強烈な反戦映画]

☆小さな巨人「Little Big Man」
(1970年制作、アーサー・ペン監督、脚本:カルダー・ウィリンガム、
撮影:ハリー・ストラドリング・ジュニア、音楽:ジョン・ハモンド、
原作:トーマス・バーガー
ダスティン・ホフマン、フェイ・ダナウェイ、チーフ・ダン・ジョージ、マーティン・バルサム、リチャード・マリガン、ジェフ・コーリー、エイミー・エクルズ、キャロル・アンドロコフスキー、ルーベン・モレノ )
   
映画は、歴史家からインタビューを受ける121歳のジャック(ダスティン・ホフマン)の数奇な運命の回想から始まる。

インディアンに襲われ、幼くして(10歳)姉キャサリン(キャロル・アンドロコフスキー)と生き残ったジャック・クラブが、インディアン“見える影”(ルーベン・モレノ)に助けられ、部族の村へ連れて行かれ、インディアンとして育ち、長老オールド・ロッジ・スキン(チーフ・ダン・ジョージ)の養子となり、14歳の時、部族の仲間〝若い熊“を救い、身体は小さいが勇気があると「小さな巨人」と呼ばれるようになる。16歳の時、騎兵隊との戦いで危ないところを、初代大統領の名前(ジョージ・ワシントン)を叫び、白人であることを告げて救われ白人社会で再び暮らすこととなる。

神父の妻ベントレーク夫人(フェイ・ダナウェイ)の正体を知り(色情狂)、預けられた家を飛び出し、詐欺師(マーティン・バルサム)の仲間になったり、姉のキャサリンと再会し、ガンマンとなって、ワイルド・ビル・ヒコックと出会いガンマンの非情な世界を知り、雑貨商へ転身し結婚するものの、共同経営者に騙され無一文となってしまい、カスター将軍と出会い西部を目指せとの言葉に従うが、インディアンの襲撃に会い妻を浚われる。
さまざまなエピソードが積み重ねられ、ネイティブ・インディアンへの白人社会の迫害と虐殺の歴史を描きながら、ベトナムへ介入し戦争を行うアメリカそのものを痛烈に批判した映画となっている。

クライマックスは、カスター将軍率いる第七騎兵隊が全滅する“リトル・ビッグ・ホーンの戦い”の前後の状況を描き、カスター将軍は、野心的で独善的な変人として描かれている。
ジャックは、いわばアーサー・ペン監督の代弁者としての役割で、映画の狂言回しとしての役割を演じている。

アーサー・ペン監督は、ポール・ニューマン主演「左ききの拳銃:The Left handed Gun」でデビューし、「奇跡の人:The Miracle Woker」「俺たちに明日はない:Bonnie and Clyde」「アリスのレストラン:Alice’s Restaurant」という3作品で、アカデミー賞監督賞にノミネート、1960年代~80年代にかけて注目作品を発表した監督である。

この作品は、当時ベトナム戦争(1965年から本格的に軍事介入)が泥沼化していた時期で、国内でベトナム戦争反対運動が起こっていたことを、色濃く反映する作品となっていて、ネイティブ・インディアンの虐殺という題材を描きながらも、ネイティブ・インディアンをベトナム、騎兵隊をアメリカ軍と置き換えると解りやすい作品でもある。

ダスティン・ホフマン、チーフ・ダン・ジョージ(アカデミー賞助演男優賞ノミネート)が大熱演、歴史上の人物も登場させ、(カスター将軍、ワイルド・ビル・ヒコック、バッファロー・ビル等)時にはコミカルな味付けも加えながら、ネイティブ・インディアン虐殺での残虐な場面などのピリッとしたスパイスも絡めた大作である。
インディアンの可憐な妻(サンシャイン)役を演じたエイミー・エクルズが、キュートで可愛い女優さんで、目を引いた。

”毎日が映画日和“90点


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