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エリザベス・ゴールデンエイジ「The Elizabeth Golden Age」 [重厚な史劇サスペンス]

☆エリザベス・ゴールデンエイジ「The Elizabeth:Golden Age」
(2007年製作、シェカール・カプール監督、脚本:ウィリアム・ニコルソン
マイケル・ハースト、音楽:クレイブ・アームストロング、A・R・ラフマーン、撮影:レミ・アデファラシン
ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライブ・オーウェン、アビー・コーニッシュ、サマンサ・モートン、リス・エヴァンス、ジョルディ・モリャ)
   
1998年製作「Elizabeth」の後日談を描いた作品で、前作とほぼ同じスタッフ、メインキャストも同じで制作れた作品。

カトリック信仰者でスコットランド女王メアリーを、正式な英国の女王にしようという勢力と、敬虔なカトリック信者スペインのフィリペ2世が暗躍し、戦略的に脆弱なプロテスタント信者のエリザベス女王を追い落とそうとする攻防を描いた力作。

前作同様、力強い華麗なタッチで描かれるこの作品は、第80回アカデミー賞衣裳デザイン賞を受賞し、エリザベスを演じたケイト・ブランシェットは、前作同様受賞は逃したものの、主演女優賞候補にノミネートされている。

エリザベスに忠誠を尽くす国王秘書長官ウォルシンガム役の、ジェフリー・ラッシュは前作ほどインパクトの強さは感じなかったが、秘密情報網は健在で、謀反を企てるスコットランドのメアリー女王の密書の情報はすべて掴んでいたという怖さを見せ、凄味を出している。

今作で、その分存在感を示していたのは、ウォルター・ローリーに扮した、クライブ・オーゥエンで、アメリカ新大陸を何度か訪れ、イギリスの初めての植民地をヴァージニアと名付けた探検家役で、好演。

エリザベスの寵愛を受け、無敵のスペイン艦隊との戦いでも活躍をする。エリザベスの女官だったベスと結婚し、お互い愛し合い2人の子供を設けている。一時的には女王の許可なく結婚したということで、ローリーは監獄に入れられ、ベスは宮廷を追放されているが、後には再び寵愛を受けるようになる。
映画では、女王のローリーへの想いが、一時的な嫉妬心となって2人につらく当たったという解釈となっている。

前半は、スペインとスコットランドとの、腹の探り合い、陰謀暴露を中心に描き、後半はエリザベスの女性としての想いとの葛藤の中、国民のため自ら先頭に立ってスペイン軍と戦う姿を描いている。
非常にオーソドックスな組み立て方で、音楽の使い方なども、まるでクラシック映画を見ているような雰囲気だったが、逆に新鮮に感じて、観れば見るほどこの作品が好きになる。

監督作品数は少ないものの、インド生まれのシェーカル・カブール監督の手腕は見事で、1588年、両軍が激突するアルマダ海戦シーンの合成部分には、若干不満は残るものの、畳み掛ける様な演出は中々の迫力で、馬が海中に投げ出され海中から水面を泳ぐ馬を見上げる撮影シーンなど、驚かされる。
スペインは、この海戦での敗北10年後に、国家財政が破綻し、フィリペ2世はこの世を去り、「太陽の沈まない国」と称せられた一代帝国を築いた時代は、終焉を迎えた。

イングランドは勝利の後、安定した統治が行われエリザベスが亡くなる(1603年)までを、ゴールデン・エイジ(黄金の時代)と呼んでいる。
見応え満点の重厚な作品で、前作に勝るとも劣らない作品となっている。

“毎日が映画日和” 90点





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