SSブログ

子連れ狼(第3作目)-死に風に向かう乳母車ー [時代劇終焉時代の傑作]

☆子連れ狼(第3作目)―死に風に向う乳母車-
(1972年制作、三隅研次監督、脚本・原作:小池一雄、小島剛、音楽:桜井英顕、撮影:牧浦地志
若山富三郎、加藤剛、山形勲、浜木綿子、浜村純、名和宏、草野大悟、和崎俊哉、加藤小夜子、水島道太郎、中谷一郎、富川昌宏)
   
「子連れ狼」シリーズ第3作目である。
今回は、柳生烈堂との戦いは描かれず、渡り徒士孫村官兵衛(加藤剛)との一
騎打ちをクライマックスにして、武士道の生き様を見せる痛快な作品となって
いる。

女郎として売られたお松のエピソードで、忘八者の元締め酉蔵(浜木綿子)と
のエピソードに武士の生き様を感じさせる場面が出てくる。それは、お松の代
わりに忘八の掟に従い、“水攻めとぶりぶり“というしごきを受け、今でも本物
の侍が残っていると酉蔵が感心するエピソードの場面、しごきに耐えた一刀に、
酉蔵の父親は、元掛川藩家老で、藩を潰すため御老中に注進した御側要人猿渡
玄藩(山形勲)の殺害を依頼する。

今回も、過激な度肝を抜くような斬り合いの場面が随所に出てくるが、意外と忘れられて
いるのが乳母車である。007映画の秘密兵器の様で、映画の重要なアクセント
としてさまざまな場面で活躍する。御側用人との戦いも、乳母車が機関銃に早
変わりするシーンにはビックリ。何十人もいる敵側を、一人で斬りまくるとい
うあり得ない殺陣もみせるが、若山富三郎が演ずるとすんなりと受け入れられ
るから不思議である。

小池一雄は、メイキング映像の中で、ストーリーのアイデアには、アリステア・
マクリーンやジョン・ル・カレの小説を大いに参考にしたと言っている。
イギリスのスパイ小説が大好きな人間にとっては、うれしい話であるが、それがどの場面か
分からない。

殺陣のアイデアが、面白くて毎回楽しみなのだが、今回も冒頭から楽しませて
くれる、足や手、首が乱舞し最後には、介錯を受ける加藤剛の首まで飛ぶ。
製作は勝新太郎率いる勝プロダクションで、スタッフは、大映の技術陣という
ことだったのだが、大映が倒産という憂き目にあい、スタッフは一致団結して
仕事ができるという嬉しさで、頑張ったと照明担当者や美術担当者が、メイキ
ング映像で述べている。

過激なアクションは試行錯誤の連続で、映画スタッフが観れば苦労して画面に
治めているということが良くわかるということで、技術スタッフ達の苦労の結晶であ
る。このシリーズは、アメリカでも上映され、DVD化されたのもアメリカの方
が先だし、ロジャー・コーマンが第1作&第2作を編集して「Shogun Assassin」として上映している。

クエンティン・タランティーノ監督は、一連のシリーズの大フアンとのことで、
自らの作品にも大いに参考にしているとのこと。サム・ライミ監督など海外の映画人にファンが多い。同じ時期に製作された「御用牙」シリーズもアメリカではDVD化されているが、
日本では発売されていない。(早く発売してほしい)

三隅研次監督は、座頭市シリ―ズや眠狂四郎シリーズを初め、多くの時代劇を
中心に大映を支えた監督だったが、54歳という若さでこの世を去ったのは、
至極残念である。名作を数多く残した監督で、名カメラマン森田富士郎は、芸
術性を追求した監督ではなかったが、娯楽性を追求した監督で、日本の誇る名
監督だったと述べている。

“毎日が映画日和” 75点


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。