SSブログ
渋~い俳優達の佳作! ブログトップ

ザ・ファミリー「The Don is Dead」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆ザ・ファミリー「The Don is Dead」
(1973年制作、リチャード・フライシャー監督、脚本:マービン・H・アルパート、撮影:リチャード・H・クライン、音楽:ジェリー・ゴールドスミス
アンソニー・クイン、フレデリック・フォレスト、ロバート・フォスター、エンジェル・トンプキンス、アル・レッティエリ)

    
マフィアの内部抗争を描き、渋いキャストと監督がリチャード・フライシャ-ということで是非観たかった作品。

地域を牛耳るドンの一人が無くなり、跡目問題でドン達が、ラスベガス郊外に集まり、その後の縄張りを決める当たりまでは、面白くなりそうだと思ったのだが、幹部の一人(オランド)が親分の刑務所暮らしをいいことに、親分の妻と出来てしまい縄張りを乗っ取り、アンジェロ(アンソニー・クイン)一味に罠を仕掛け、そっちのシマまで奪おうとしたことで起こる抗争を描く。

一言でいえば、罠だと気が付くまでがあまりにも遅すぎるし、キャストにもう少し、大物俳優が欲しかったところ。この手の映画に欠かせない、銃撃戦や爆発シーンなどは、まあまあで迫力もあるだけにもう一工夫欲しかった。

アル・レッティエリ始めとする下っ端ヤクザどもは、まあまあなのだが、オランドや他のボス達、後半出所してくるドン役ジミーにも、貫禄が無さ過ぎるし、凄味が無さ過ぎる。フレデリック・フォレストは切れ者のヤクザ役だが、ちょっと貫録不足だし、ロバート・フォスターは、面構えは良いのだが、折角のチャンスを未熟さゆえに自ら墓穴を掘って死んでゆくチンピラ役で、すぐ切れるヤクザを演じている。
今では、名バイブレーヤーとしてテレビに映画に活躍している。

アンソニー・クインの役としてはちょっと物足らず、もう少し思慮深さがあってもよかった感じがする。女のことで、罠にはまってしまうというのは、ちょっと全体的に安っぽさ過ぎる。オランドの仕業だと気が付くのも唐突で、この手の映画としては脚本がお粗末すぎた、リチャード・フライシャ-監督は失敗作も多く、残念ながらこの作品もその1本となった。

“毎日が映画日和” 55点

告白「The Confessions」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆告白「True Confessions」
(1981年制作 ウール・グロスバード監督、脚本:ジョン・グレゴリー・ダン、ジョーン・ディディオン、撮影:オーウェン・ロイズマン、音楽:ジョルジョ・ドルリュー  ロバート・デ・ニーロ、ロバート・デュバル、チャールズ・ダーニング、バージェス・メレディス、ローズ・グレゴリオ、ケネス・マクミラン、シリル・キューザック)
       
ロバート・デ・ニーロとロバート・デュバルが、共演したサスペンス映画。
兄の刑事(デュバル)、司祭の弟(デ・ニーロ)が、1962年砂漠の教会で久しぶりに再会するシーンからスタートする。事件の舞台は、1948年、若き司祭のデズモンド(デ・ニーロ)が、枢機卿の意向を組んで、建設業界の大物ジャックの援助を目的に、様々な事業に影響力を及ぼしている。

娼婦の館で司祭が死に、その後若い娼婦が殺される。娼婦殺人の犯人を追いかける兄トムの捜索は、過去に因縁のあるジャック(チャールズ・ダーニング)へと向かって行くが、町の名士であり協会の後ろ盾でもあるジャックへの捜索は協会にとっても諸刃の剣で枢機卿はあまり協力的ではない。

ブルー・フィルムの撮影者が容疑者に浮かび、その撮影現場が殺害場所とわかり、協会が絡んでいることがわかるとデズモンドは閑職へと追いやられ砂漠の司祭となっているという物語。

久しぶりの再会で、弟は兄へ思いあがっていたこと、神から遠ざかっていたこと、事件がきっかけで本来の自分に戻れたことを感謝する。やすらかな顔で心臓が悪く余命いくばくもないことを告白する弟と兄の姿があった。すでに購入している墓地を案内する場面でフェードアウトとなる。

冒頭の司祭の死とか新たな商業エリアの開発など余計なエピソードが多く、俳優が熱演していただけにもったいない。演出が空回りしたような感じで、「ストレートタイム」「恋に落ちて」を監督したウール・グロスバードだけに残念。
チャールズ・ダーニングやバージェス・メレディス、ローズ・グレゴリオが好演。ローズ・グレゴリオが、自殺する理由も良く分らいが、「さよならを言える相手がいて良かった」とのセリフは、なかなか良いセリフだった。

“毎日が映画日和”70点

フリック・ストーリー「Flic Story」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆フリック・ストーリー「Flic Story」
(1975年制作、ジャック・ドレ‐監督、脚本:ジャック・ドレ‐、アルフォンス・ブーダール、撮影:ジャン・ジャック・タルベス、音楽:クロード・ボラン、原作:ロジェ・ボルニッシュ、 アラン・ドロン、ジャン=ルイ・トランティニアン、クロディ―ヌ・オージェ、レナード・サルヴァトーレ、アンドレ・ブース、マリオ・ダヴィット)
         
アラン・ドロン主演、ジャン=ルイ・トランティニアン共演のクライム・サスペンス。
フランス犯罪史上最も凶悪な犯罪者といわれるエミール(トランティニアン)の逮捕に執念を燃やす
刑事のロジェ(ドロン)が失敗を続けながらも最後は、エミールの仲間の裏切りで居所を掴み逮捕するというストーリー。

舞台は、1947年の戦後まもないフランスで、実在した刑事、ロジェ・ボルニッシュの原作を映画化したもので、ドロンはロジェを演ずる。
常時くわえ煙草のロジェ(ドロン)と、能面の様な顔をさらに無表情にしたような冷酷なエミール(トランティニアン(「愛・アムール:2012年」で、アカデミー賞外国語映画賞、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞)の対比が面白い。
トランティニアンは、かなり役柄を研究したと見えて凄味さえ感じる。資料を見ると36件の殺人を犯したとのことで、容赦のない殺人犯役がぴったりである。(トランティニアン主演の「男と女」「刑事キャレラ10+1の追撃」「殺しが静かにやってくる」を再見しよう)トランティニアンの存在感が素晴らしい。

クロディ―ヌ・オージェが、久し振りでうれしい。(007サンダーボール作戦出演時は23歳だったが、この映画は33歳での出演、艶っぽさが増して“いい女”になっていた。日本では未公開映画も多いが、B級映画の出演が多かった女優)
レナード・サルヴァトーレやお馴染みのフランスの俳優が顔を揃え、スケールはさほど大きくはないが、良くまとまっている刑事ドラマである。
服装や車など時代考証がしっかりされているし、街並みはそのままでいいからヨーロッパの映画製作はセットの手間が省けて良い。

ドロンは、製作にも名を連ねていて、この頃のドロンは主演映画のほとんどで制作も兼ねている。
この映画も、その中の1本である。
(1974年から76年まで「ボルサリーノ2」「ル・ジタン」「ブーメランのように」「友よ静かに死ね」「プレステージ」など)
“毎日が映画日和” 75点(クロで―ヌ・オージェに5点おまけ)

大統領の料理人「Les Saveurs du palais」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆大統領の料理人「Les Saveurs du palais」
(2012年公開 クリスチャン・ヴァンサン監督 脚本:クリスチャン・ヴァンサン、エチエンヌ・コマール 撮影:ローラン・ダイヤン、音楽:ガブリエル・ヤレド  カトリーヌ・フロ、ジャン・ドルメッソン、アルチュール・デュポン、マルク・ルロ、イボリット・ジラルド)
     
フランスのミッテラン大統領のプライベート・シェフを務めた実在の人物を主人公とした料理満載の映画。1988年から2年間料理人を務めたことやその後1年間、南極のフランス基地で、料理人として勤務したことを題材とした女性シェフ「ダニエル・デルプシュ」の原作をモデルとしている。

ペリゴール地方の郷土料理、マンマの味への信念やこだわりが半端ないことが良くわかるものの、毎日あんな料理では、やはり健康に良くないですね。
しかし、美味しそうで、一緒に映画をみていた妻と2人で、“食べたいね食べたいね”連呼の映画でした。

主演のカトリーヌ・フロは、アガサの「奥様は名探偵」で2度お目にかかっているが、その他はほとんど馴染みの無い女優、料理の手つきと言い佇まいと言い、なかなか勉強したと見えて、骨のある女優さんなのだろう貫録十分の演技。助手のパティシエ役やミッテラン大統領役、執事役などの好演もありほろ苦い場面があるものの楽しい映画だった。

実際に、エリゼ宮(大統領官邸)で撮影もされたとのこと。大統領の健康管理を担う担当や経費削減の中で、思うように腕を揮えなくなり2年で辞職する。南極での今の生活とエリゼ宮での料理人時代を交互に描きながら、逞しく前向きな女性の生き方を見せてくれる。
映画の中に出てくる、エドワール・ニニョンの「フランス料理賛歌」の和約があれば是非読みたいものである。

“毎日が映画日和” 65点

夜までドライブ「They Drive by Night」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆夜までドライブ「They Drive by Night」
(1940年制作 ラオール・ウォルシュ監督、脚本:ジェリー・ウォルド、撮影:アーサー・エディソン、音楽:アドルフ・ドイチェ  ジョージ・ラフト、ハンフリー・ボガード、アン・シェリダン、アイダ・ルピノ)
       
主演4人の名前だけみると、ギャング映画の様だが、さにあらずトラック運転手の成功物語の映画で、サスペンスも堪能できるし、ファム・ファタールを演じるアイダ・ルピノもいる。
兄弟で、トラックドライバーをしながら、将来を夢見る2人にジョージ・ラフトとハンフリー・ボガードが扮している。

この映画製作時点では、まだラフトの方が格上だったのだろうが、ボガードは2番手に甘んじている。(苦み走ったタフガイイメージの前)ボガードは、奥さん思いの良き夫で、兄貴思いの弟の役を演じていて好感が持てる。
最後のウインクの場面など、なんとまあという笑顔。

監督は、ラオール・ウォルシュで、サスペンス的要素を盛り込み、見ていて面白い映画で、脚本も良く出来ている。夜通しで走るトラックドライバーの過酷さを十分見せて、起こるぞ起こるぞと前ふりを十分した上で、ボガードが事故で右腕を失う、そこからが本番で事務職として友人に雇われた兄貴のラフトが、横恋慕する友人の奥さんに、可愛さ余って憎さ百倍とばかりに、殺人者に仕立てあげられるが、狂乱する奥さんの心神喪失によって、無実となる。

ドライバー同士の思いやりや仲間意識などを上手く取り入れながら、なるほどベテラン職人監督ならではという出来栄えで、今見ても十分面白い。

最近の映画は、このようなシンプルな映画が少なってきたように思う。
派手なCGや絶叫ばかりする映画と違い、映画本来の出演陣の演技や脚本の出来栄えや演出効果などが味わえる。1930年~50年頃の映画に秀作、名作が多いのは、何故だろうか。

“映画はみんな面白い” 70点

復讐捜査線「Edge of Darkness」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆復讐捜査線「Edge of Darkness」
(2010年制作 マーティン・キャンベル監督、ウィリアム・モナハン、アンドリュー・ボーベル脚本、トロイ・ケネディ・マーティンオリジナル脚本、フィル・メヒュー撮影、音楽:ハワード・シェア   メル・ギブソン、レイ・ウエンストン、ダニー・ヒューストン、ボヤノ・ノボコヴィッチ)
     
1985年イギリスで制作された、テレビ映画をマーティン・キャンベルが、自らリメイクした作品。
舞台は、イギリスヨークシャーから、アメリカボストンへ変更となっている。

愛する娘が殺害されたことから、一人で復讐に立ち上がる親父刑事のアクション巨編。
題名がB級過ぎて、メル・ギブソンが主演だということを知らない人も多いいのではないか。
9年振りの映画ということで、さすがに中年の渋みがぐっと増したが、その分映画に落ち着きが出たように思う。

勤務先の核兵器製造の秘密を知った娘が、勤務先と政府機関に殺されてしまい、その謎を突き止め、最後は首謀者たちに復讐を果たすというアクション巨編。
敵なのか味方なのか得体のしれない役を演ずるレイ・ウエストンが、結局最後は自分の身を犠牲にして、助けてくれるところもなかなか良い。

ギブソンは、最後に警官と向き合い”家族はいるか、子供はいるか“と確認し、いると答えると拳銃を自ら下げ、警官に撃たれてしまうという儲け役。
映画は、メル・ギブソンに女っ気がないが、その分娘の復讐に命を懸ける父親の心情をメインに進んでいく。キャンベル監督は、「カジノ・ロワイヤル」と違いちょっともたつく印象が否めないが、よくある題材を見ごたえある作品に仕上げている。まあそつなく、まとめるタイプの監督で、次回作が楽しみ。

メル・ギブソンは2002年以来の主演映画ということだが、もっともっと映画に出て楽しませてほしい役者の一人である。

“毎日が映画日和” 70点

チャイニーズ・ブッキーを殺した男「The Killing of Chinese Bookie」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆チャイニーズ・ブッキーを殺した男「The Killing of Chinese Bookie」
(1976年制作 ジョン・カサベテス監督・脚本 撮影:フレデリック・エルムズ、マイク・フェリス、アル・ルーバン 音楽:ポー・ハーウッド   ベン・ギャザラ、アル・ルーバン、シーモア・カッセル)
     
ヌード劇場のオーナーが、借金の方にマフィアの大物を殺し、依頼されたギャングからも命を狙われるという筋立てで、監督としての評価も高いジョン・カサベテスの伝説の映画である。
監督作品「グロリア」は傑作で面白かったが、その他の映画を見る機会はなかった。「アメリカの影」「こわれゆく女」など12本ほどの監督作品がある。

俳優のカサベテスの方に馴染みがあり、「パニック・イン・スタジアム」は最近再見しその面白さにびっくりしたが、何といってもSWAT隊長役のカサベテスのカッコ良さにほれぼれする。「特攻大作戦」のフランコ役も忘れ難い。
俳優として出演の「明日に賭ける」「プラス・ターゲット」も是非見てみたい映画である。

この映画は、手持ちカメラでの撮影が、臨場感を生み出し独特の雰囲気を作っている。また殺しの依頼を引き受けざる負えない状況に至るまでの描写もわかり易く、ベン・ギャザラの演技も良い、悪役陣の顔ぶれや服装も凄味が出ていてそれらしい雰囲気。

計算された演出、複雑なストーリーをわかり易くまとめた脚本、手作り感が堪能できるカメラ・ワークなど、異色のフィルム・ノワールとなっている。
殺しの場面も緊張感漂うクールな演出で、大げさにならずリアルな描写が素晴らしい。
ギャング達に呼び出され殺し合いになる場面も、カサベテスタッチ満載。
寝酒がわりに、途中で寝てしまうことを想定して選んだ1本だったが、とんでもなく面白く最後まで見てしまった、印象に残る作品である。

“毎日が映画日和” 80点



刑事マディガン「Madigan」 [渋~い俳優達の佳作!]

☆刑事マディガン[Madigan](1968年公開 ドン・シーゲル監督 脚本:ヘンリー・シムーン、エイブラハム・ポランスキー、撮影:ラッセル・メティ、音楽:ドン・コスタ  リチャード・ウィドマーク、ヘンリー・フォンダ、ハリー・ガーディノ、ジェームズ・ホイットモア、インガー・スティーブンス、スーザン・クラーク)
    
ドン・シーゲル監督が、ニューヨークを舞台に描くヒット作「刑事マディガン」は、このあとテレビドラマとして「鬼刑事マディガン」が制作され、同じくウィドマークが主演を努めた。

ニューヨーク23分署所属の刑事2人が、手配の参考人取り調べ中に、すきを突かれ拳銃を奪われてしまい汚名挽回のため奔走する、3日間を描いている。また、警察委員長(ヘンリー・フォンダ)の不倫問題と汚職疑惑の警察本部長(ジェームズ・ホイットモア)との友情や刑事マディガンと妻の確執などが並行して描かれる。(いつも忙しい夫に不満の妻という設定だが、、、)

出演陣が豪華で、ウィドマーク、ヘンリー・フォンダ、ジェームズ・ホイットモア、ハリー・ガーディノと重厚な布陣。彩を添えるのは、北欧出身のインガー・スティーブンス、スーザン・クラーク、シェリー・ノース等の女優陣。

犯人を追いつめ突入するが、マディガンは撃たれ死亡してしまうという、ほろ苦い結末となる。ドン・シーゲルの手堅い演出もあり、大作感は無いものの、よくまとまっていて安心して見られる映画となっている。ウィドマークの強面の風貌が、多少荒っぽい刑事役によく合っている。 

ハリー・ガーディノは、戦争映画アクション、サスペンス映画の出演が多い、名脇役で、シーゲル作品には3本出演している。(イーストウッド主演映画にも、ダーティー・ハリー他4本出演している。)
ジェームズ・ホイットモアは、さまざまな映画に出演している名優で、50年以上に及び、映画や舞台、テレビに出演し、2009年87歳で亡くなっている。この映画出演時は47歳と油の乗り切った頃で、50年代から70年代にかけて、話題作、注目作への出演が相次いでいる。

ヘンリー・フォンダは、説明するまでもない名優で、若かりし頃から主演を努め、多くの名監督から好まれた実力派俳優。
この映画では、いつも通りの淡々とした静かな演技で、さまざまな問題を抱える警察組織の委員長を演じている。読んでいないので実際どういう内容なのかわからないが、原作の題名は「警察委員長」とのこと。
 ヘンリー・フォンダが主演といってもいいような映画だった。

“毎日が映画日和” 75点

渋~い俳優達の佳作! ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。