SSブログ
イーストウッドを見逃すな! ブログトップ
- | 次の10件

夕陽のガンマン「For a Few Dollars More [イーストウッドを見逃すな!]

☆夕陽のガンマン「Per Qualche Dollaro in piu/For a Few Dollars More」
(1965年制作、セルジオ・レオーネ監督、脚本:セルジオ・レオーネ、ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ、音楽:エンニオ・モリコーネ、撮影:マッシモ・ダラマーノ
クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、ジャン・マリア・ヴォロンテ、クラウス・キンスキー、ヨゼフ・エッガー)
   

中学生の頃、友人と「夕陽のガンマン」を見てから映画ファンになり、以来45年以上映画を愛し続けることとなった想い出の作品である。

セルジオ・レオーネ監督とクリント・イーストウッドは、黒澤明監督「用心棒」のリメイク作品「荒野の用心棒:A Firstful of Dollars」が、イタリア、ヨーロッパで大ヒットし(東宝に無断で制作したことから裁判となり、東宝が勝訴)、その後アメリカでも、1967年に公開され制作費の50倍以上のヒットとなったという。(監督も、音楽担当のモリコーネ、悪役のボロンテ等は、アメリカ風の名前に変更し本名をはクレジットされなかったという、製作費は、たったの20万ドルで、イタリア・スペインが製作)

イーストウッドは、イタリアとスペインに旅行できるということもあり、気楽に引き受けたが、イタリアスタッフのいい加減さにびっくりしたと特典映像で述べている。「荒野の用心棒」のヒットで、この作品が製作されることとなった。

今作では、大物プロデューサーのアルベルト・グリマルディ(フェデリコ・フェリーニ、ピエル・パウロ・パゾリーニ、ベルナルド・ベルトリッチ監督の作品などを手懸けている)が、製作者として関わり、前作の3倍の60万ドルの予算で制作した。(ハリウッド作品からみたら、大幅に少ない予算)

今まで何回も見てきた作品だが、アメリカ西部劇とは異質の匂いを持つ作品で、セルジオ・レオーネ監督は出演者の顔のアップ、眼の動きで感情を表す演出など、出演者の顔の表情を非常に重視する監督である。
また、シチュエーションを変えた、さまざまな銃撃シーンが、沢山描かれるのも特色である。(マカロニ・ウェスタンは、主にヨーロッパマーケットを意識して制作され、アメリカでは、セルジオ・レオーネ作品以外ほとんど認められていない)

スペインのアルメリア地方に大掛かりなセットを組み、エル・パソの街並みを再現、ロケーション撮影も同時に行われ、荒涼とした風景を背景に、賞金稼ぎのモンコ(名無しの男)(クリント・イーストウッド)と娘の復讐に燃えるモーティマー大佐(リー・ヴァン・クリーフ)の男の友情を描く。
早打ちの名無し男とさまざまな種類の銃を使うモーティマー大佐を好対照に描き、徹底した娯楽アクション大作に仕上げている。

撮影技術や編集技術も優れており、悪役インディオ(ジャン・マリア・ボロンテ)の麻薬を吸っての陶酔シーンのフラッシュバックの多様や、モーティマー大佐の娘を回顧するシーンのカット割りなど、工夫を凝らしている。
特筆すべきは音楽で、「荒野の用心棒」でも、口笛やトランペットを活かしたメロディ-で、印象深い音楽を聞かせてくれた、エンニオ・モリコーネを世界的に有名にした映画でもある。特典映像を見ると、監督のレオーネから脚本のこの部分には、こんなイメージの曲という風に、リクエストを受けて作曲したという。

「荒野の用心棒」から、レオーネの遺作となる「ワンス・アポン・ナ・タイム・イン・アメリカ:Once Upon a Time in America」まで音楽を担当したが、レオーネの映画を世界的に有名にしたのは、モリコーネの音楽での貢献があったからでもある。(同じ学校で育った幼馴染である)

この作品は、当初モーティマー大佐役には、ヘンリー・フォンダが出演交渉されたが、レオーネは無名の監督(まだ「荒野の用心棒」はアメリカで公開前だった)ということで断られ、チャールズ・ブロンソンにも断われているとのこと。
結果としては、リー・ヴァン・クリーフで大正解だったのだが、ヘンリー・フォンダとチャールズ・ブロンソンは、その後レオーネ監督の「ウェスタン:Once upon a Time in the West」で、出演が実現した。(製作費は、500万ドルとなっていることを見ても、アメリカでのセルジオ・レオーネの知名度が上がっていることが推測できる)

世界的にヒットしたこの映画は、レオーネ監督、クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフをスターにした出世作でもある。イーストウッドのその後の活躍は、知っての通りである。
リー・ヴァン・クリーフもそれまでは、西部劇やギャング映画などで悪役中心に活動していたが、この作品で認められ、その後主演作品も制作された性格俳優で、独特の風貌が印象深い俳優である。

悪役のインディオ役のジャン=マリア・ボロンテは、「荒野の用心棒」でも悪役を演じていて、レオーネ監督との2作でスターとなり、世界的な俳優となっていった。さまざまな映画祭で男優賞を受賞し、政治的メッセージの強い映画にも出演、一言でいうと〝濃い“演技派で名作への出演も数多い。この作品では、演技過剰になり過ぎ、しばしば監督に演技を抑えるよう指示されたという。

マカロニ・ウエスタンの元祖とされるレオーネ監督だが、ジャンルを確立した監督といった方が正しく、イタリアでは、先にセルジオ・コルブッチ(「グランド・キャニオンの大虐殺:1963年」「続・荒野の用心棒」や「殺しが静かにやって来る」が有名)や、西ドイツ製作の西部劇が、ヨーロッパマーケットを中心に公開されていた。

132分の上映時間は、この後のレオーネ作品と比較すると短いのだが(この後の4作品は、何れも3時間~4時間近い)、観客としては、このぐらいの方が観やすい。
マカロニ・ウェスタンという名称は、映画評論家の淀川長治氏が名付け親だが
当初は「スパゲティ・ウェスタン」と呼ばれていた。
スパゲティでは、細すぎるからとか、中身が無く空っぽからだとかの諸説があるが、セルジオ・レオーネ監督の西部劇は、他のマカロニ・ウェスタンとは違い骨太で、芸術性も高い。

作品を観れば、一目瞭然で、骨格がしっかりしており見ていて面白いことと、スケールの大きな壮大な作品を製作しイタリア映画化の巨匠となった。

“毎日が映画日和” 100点(この作品の想い出に、満点!!)










nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

サンダーダーボルト「Thunderbolt and Lgutfoot」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆サンダーボルト「Thunderbolt and Lightfoot」
(1974年制作、マイケル・チミノ監督・脚本、撮影:フランク・スタンリー、音楽:ディ―・バートン
クリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディ、ジェフリー・ルイス、ゲイリー・ビジー、キャサリン・バック)
    
「ダーティー・ハリー2:Magnum Force」の脚本をジョン・ミリアスと共同で手懸けて認められたマイケル・チミノが初めて監督とした作品で、重厚感はないものの、明るいタッチで、解りやすい犯罪アクションとなっている。

ジェッフ・ブリッジスが、クリント・イーストウッドの相棒でキャスティングされている。
若いころから演技の上手い俳優として認められているが、アカデミー賞ノミネート6回、受賞1回を誇る現役俳優の中でも、その実力が抜きんでている男優である。

銀行強盗で奪った50万ドルを古い学校校舎の壁の裏に隠したのだが、新しい校舎が建ち、古い校舎は無くなってしまったことから、強盗仲間で軍隊時代からの古い付き合いのレッド(ジョージ・ケネディ)やエディ(ジェフリー・ルイス)等に命を狙われる、奪った金は触っていないと説得し、再度同じ銀行を襲うという計画を立て実行する。

成功したと思われたが、ちょっとしたミスで、警察に追われ結果は失敗に終わるのだが、レッドの裏切りに合い、途中で殴られ、車から放り出された2人サンダーボルト(クリント・イーストウッド)とライトフット(ジェフ・ブリッジス)は、再び中西部の町へ戻り、偶然にも移築された古い校舎を見つけ、隠した金を手にするが、レッドに殴られた影響で、新たな旅立ちをしようとする車の中で、ライトフットは、息を引き取ってしまう。

明るいタッチで描かれていくが、最後は4人の仲間の内3人が死んでしまうという悲哀を滲ませる脚本となっている。
ジョージ・ケネディが、軍隊上がりの乱暴なキャラクターを上手く演じていて、風貌も雰囲気が出ている。レッドは逃亡の途中、犬にかみ殺されるという悲惨な最後を遂げる。
イーストウッド映画の常連、ジェフリー・ルイスが強盗仲間で出演、相変わらず渋い演技を披露している。

脚本が良く練られていて、ロード・ムービー的要素も有り、派手な銃撃シーンはないものの、20ミリ機関砲で銀行の金庫を破壊するという、迫力ある珍しい手口も見せる。
興行的にも成功し、製作費の5倍以上のヒット作となっている。
1970年代、主演作連発の頃のクリント・イーストウッドの代表作で、非常に見やすい、面白い作品となっている。

“毎日が映画日和” 80点

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

目撃「Absolute Power」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆目撃「Absolute Power」
(1997年制作、クリント・イーストウッド監督、脚本:ウィリアム・ゴールドマン、撮影:ジャック・N・グリーン、音楽:レニー・ニーハウス
クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、エド・ハリス、ローラ・リニ―、スコット・グレン、デニス・ヘイスバート、ジュディ・ディビス、
E・G・マーシャル、メロラ・ハーデン)
    

クリント・イーストウッド主演作品の中でも、個人的に大好きなサスペンス作品。
デヴィッド・パルダッチの原作内容とは、大きく異なり、主人公ルーサーは原作では途中で殺されてしまうことから、映画用に大幅に脚色されている。

ベテランの凄腕の泥棒ルーサー(クリント・イーストウッド)が、金持ちで有力者のサリヴァン(E・G・マーシャル)邸に強盗に入るのだが、酒に酔ったサリヴァンの妻(メロラ・ハ―ディン)と大統領(ジーン。ハックマン)が、帰ってきて最初はじゃれ合っていたのがエスカレートしケンカとなり、シークレット・サービス2名(スコット・グレンとデニス・ヘイスバート)が、サリヴァン夫人を撃ち殺してしまう。その後始末のため大統領補佐官のグロリア(ジュディ・デイヴィス)が、警護官2名と奔走することで、事件が大事(おおごと)になってくる。

サリヴァンが、妻の復讐のため雇った殺し屋もルーサーを狙うという展開、警護官の2名も大統領の命令もあり、内情を知られているだろうとルーサーの娘、検察官ケイト(ローラ・リニ―)を崖から車ごと落とす。駆けつけたルーサーが、素早く発見し、危うく死は免れるが大けがを負う。
捜査を担当するセス刑事(エド・ハリス)が、ルーサーの犯行と睨み追いかけるが、殺しはしないルーサーの犯行に疑問を感じ、娘のケイトに協力を頼む。待ち合わせ場所で逮捕に失敗したセスだが、ケイトに興味を持ったセスの演技が楽しい。(エド・ハリスの魅力が爆発)

派手なアクション満載という映画ではなく、じっくりとサスペンスを盛り上げる映画で、121分の上映時間もちょうどいい。
大統領が殺人の当事者となるということで、最後どうなるのだろうと気になるところだが、細かな伏線がエピソードとして脚本に盛り込まれ、納得のいく結末となっている。
イーストウッド監督17作目で、すっかりベテラン監督の貫禄を見せ、ツボを心得た演出で、非常に解りやすく、テンポの良い映画となっている。

ジーン・ハックマンが大統領リッチモンド役、E・G・マーシャルがサリヴァン役で、映画にどっしりとした安定感を与えている。
ベテラン俳優のジュディ・ディビス、スコット・グレン、デニス・ベイスハートが、しっかりと脇を固め、重厚なキャスティングとなっている。
この映画は、脚本ウィリアム・ゴールドマンの無駄のない、解りやすい脚本の功績も大きいが(大ヒットとはならなかった)、質の高い娯楽作品として仕上がっている。

”毎日が映画日和“ 85点


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

恐怖のメロディ(クリント・イーストウッド監督・主演)「Play Misty for Me」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆恐怖のメロディ「Play Misty for Me」
(1971年製作、クリント・イーストウッド監督、脚本:ディーン・リズナー、ジョー・ヘイムズ、撮影:ブルース・サーティス、音楽:ディ―・バートン、原作:ジョー・ヘイムズ
クリント・イーストウッド、ジェシカ・ウォルター、ドナ・ミルズ、ジョン・ラーチ、ジャック・ギンク、ドン・シーゲル)
      
クリント・イーストウッドの初監督作品で、イーストウッドの師でもあるドン・シーゲルがバーテンダーとして出演もし、製作期間中も見守っていたとのこと。

イーストウッドの初めての作品が、サイコ・サスペンスとは、意表を突かれた感じもするが、マーク・エリオットの「クリント・イーストウッド」という本を読む限りは、製作上の問題で、イーストウッドの立ち上げていたマルパソ・カンパニーが、全責任を負っての制作だけに、小品でお金のかからない面白い作品が条件だったようだ、それと初監督作品なだけに、当然のことながらコストを意識し、ロケ撮影を多くすることで制作資金の負担を軽くし、自宅から近いカーメルを撮影場所に選び、慎重になったということもあったようだ。

興行的には成功し、95万ドルの制作資金をはるかに超えるアメリカ・カナダだけで1千万ドル以上の収入を上げている。

ラジオのディスク・ジョッキーが、リスナーからのリクエストに応えているうち、行き付けのバーで知り合い、一夜の関係を持ってしまうことから、ストーカーのように付きまとわれ、お手伝いさんは切り付けられ、恋人を保護する刑事まで殺される。執拗な女性ストーカー役イブリンは、ジェシカ・ウォルター(当時30歳)が演じていて、なかなかの演技を見せ、怖がらせる。

サイコ・サスペンスなのだが、まだストーカーという言葉すら生まれていない時代に、正にストーカーを描いていた。
イブリンがいつもリクエストするのが、「Misty」で、1954年にジャズ・ピアニスト、エロール・ガーナ―が作曲したバラードである。名曲を題材にするあたりは、ジャズが大好きで自ら映画音楽もこなし、ジャズの巨匠チャーリー・パーカーを描いた「バード:Bird」の映画化では、製作・監督も務めているクリントらしい一面である。
映画の中には、もう一曲「愛は面影の中に」というロバータ・グラックの歌が流れる。

結末は、映画を観てのお楽しみだが、カーメルの海岸をロケ地としたブルース・サーティスの撮影が美しい。
イーストウッドは、この作品で監督をしたことで、監督業が俳優業よりはるかに大変だということが身に染みたようで、彼の映画作りの特色である、テイク数をなるべく少なくするという考え方になっていったようである。
初監督作品としては、十分合格点ではないだろうか。

“毎日が映画日和” 75点

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ピンク・キャデラック「Pink Cadillac」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆ピンク・キャデラック「Pink Cadillac」
(1989年制作、バディ・バン・ホーン監督、脚本:ジョン・エスコウ、音楽:スティーブ・ドーフ、撮影:ジャック・N・グリーン
クリント・イーストウッド、バーナデッド・ピータース、ティモシー・カーハート、ジェフリー・ルイス、フランシス・フィッシャー、ジェームズ・クロムェル、ジョン・デニス・ジョンストン)

     
イーストウッドが、賞金稼ぎに扮して気軽に楽しめるコメディ・アクション映画となっている。
凄腕の賞金稼ぎのはずが、保釈金を踏み倒した偽札犯を夫に持つ主婦と関わったことから、徐々に調子が狂ってくる様子をのんびり描いている。

「バード:Bird」(1988)と「ホワイトハンター・ブラックハート:White hunter Black Heart」(1990)の間で出演した映画で、系列的には「ダーティー・ファイター:Every Which Way But Loose」のような軽妙なタッチの映画。
映画としては、のんびりムードで、ちょっと締りがないのが残念。

監督のバディ・バン・ホーンは、「ダーティーハリー5:The Dead Pool」「ダーティー・ファイター燃えよ鉄拳:Any Which Way You can」でも監督を務めている。映画出演をする俳優でもあり、いずれもクリント作品で、クリント組の一人である。

狂信的な白人至上主義の純潔団の活動資金25万ドル相当を持ち逃げし、追われることとなったルー・アン(バーナデッド・ピータース)を追いかけていたトム・ノワック(イーストウッド)が、ルー・アンと子供を救う物語。
最後は、良い仲となり新たな旅立ちとなるラスト・シーンとなっている。

興行的には失敗し、この作品以降、コメディ・タッチの映画への出演も、監督作品もない。
アカデミー賞の常連となってからは、作品ごとに注目を浴びるようになったが、このようなコメディ・タッチの映画も捨てがたい。

“毎日が映画日和”65点

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ブロンコ・ビリー「Bronco Billy」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆ブロンコ・ビリー「Bronco Billy」
(1980年製作 クリント・イーストウッド監督、脚本:デニス・ハッキン、音楽:スティーブ・ドーフ、撮影:デヴィット・ワース
クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、スキャットマン・クローザース、ビル・マッキーニ、サム・ボトムズ、ダン・ヴァディス、シエラ・ぺシャー、ジェフリー・ルイス)
     
クリント・イーストウッドが、西部劇ショ―のスターに扮し、嫌な結婚相手から逃げ出した資産家の娘リリーとの恋の顛末を、コメディータッチで描く、明るくて楽しい映画。

拳銃の曲撃や馬乗りを担当するブロンコ・ビリーは、インディアンの蛇踊りを披露するチーフ・ビック・イーグルと妻ロレーン、投げ縄の妙技を披露するレオナード、左きき2丁拳銃のル・パウ、司会担当のドク達の仲間と、”ワイルド・ウエスト・ショー“で、全米を巡業する一座のボス。
全員前科ありで、問題を抱えていたが、ビリーは刑に服しみんな更生していると資金の厳しい中、何とか運営していく優しい仲間思いのリーダー。

そんな一座に、勝気な女性リリーが、紛れ込みビリーは一目ぼれ、いろいろ衝突はあるものの、最後は再びリリーが、ビリーの元へ戻ってくるというハッピーエンド・コメディ。
西部劇を観ているようでもあり、クリント49歳時の作品で、監督も務めている。

リリーの義母の遺産騒ぎやレオナードのベトナム戦争脱走騒ぎ、ロレーンの妊娠騒動や、火災でテントが焼失する事件や飽きさせない脚本構成で、どうなるの と思わせながら展開するあたりは、わかり易い映画作りで定評のあるクリントの面目躍如。

クリント監督の職人芸を楽しみながら、こういうショ-がアメリカでは、バッファロー・ビルの時代から楽しまれていたことに、思いを馳せる映画なのだろう。(今でも、行われているとは思えないが)
ジェフリー・ルイス(イーストウッド映画には5本出演)が、妻に逃げられる冴えない夫役で楽しませてくれる。
ソンドラ・ロックは、「アウトロー:The Outlaw Josey Wales」で共演以来、クリント作品には6本出演、12年に亘って愛人で、この作品もそういう関係から出演した映画なのだろう。

いつも眉間にシワを寄せてばかりいるイメージだが、この手の明るい映画も結構あるのが、クリントの幅の広いところで、奥行きが深い人俳優である。
今、クリント監督の「アメリカン・スナイパー:American Sniper」というイラク戦争を題材とした映画が、アメリカで大ヒットを記録しているが、次回作が楽しみである。「ジョージ―・ボーイズJersey Boys」も素晴らしかった。
クリント・イーストウッドは、最近も離婚している。(84歳ですよ!!)

“毎日が映画日和” 75点

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ホワイトハンター・ブラックハート「White Hunter Black Heart」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆ホワイトハンター・ブラックハート「White Hunter Black Heart」
(1990年製作、クリント・イーストウッド監督、脚本:ピーター・ヴァイデル、バート・ケネディ、ジェームズ・ブリッジス、音楽:レニー・ニーハウス、撮影:ジャック・N・グリーン
クリント・イーストウッド、ジェフ・フェイヒー、ジョージ・ズンザ、アラン・アームストロング、マリサ・ベレンソン、エドワード・チューダ―・ボール、シャーロット・コーンウェル)
    
1951年の映画「アフリカの女王」撮影時のエピソードを描いている、主にはジョン・ヒューストン監督の象のハンティングを中心にした映画。

原作者ピーター・ヴァイデル自らが脚色を担当している。この物語は、「アフリカの女王」の主演者キャサリン・ヘプバーンが、自伝「アフリカの女王と私」の中でも紹介している事実で、スタッフ・キャストの困惑と怒りが綴られている。

アフリカが舞台の映画だが、象をハンティングしたいとの強い思いがあり、その誘惑に駆られ映画撮影どころではない映画監督のクランクインまでをイーストウッド監督自らの主演で製作している。
原作によほど惚れたのだろうか、イーストウッド監督の心境と重なる部分もあるのだろうか。

借金が、3千万ドルとかいっても意に介さず、映画1本で返して見せるとのセリフとか興味深い内容ではあるが、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本、脚色、助演男優賞にノミネートされること11回の大御所で、「黄金」では監督賞と脚色賞を受賞している。アフリカを舞台の映画「アフリカの女王」でも、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞の候補となり、ハンフリー・ボガードが見事男優賞を受賞している。そういう意味では、作品はヒットして評価も高かったということであろう。

映画としては、一人の監督の生き様と挫折を描いていて面白かった。
「ベニスに死す」「バリーリンドン」のマリサ・ベレンソンが、キャサリン・ヘプバーン役で、品のある美しさを見せ、華を添えている。

“毎日が映画日和” 75点


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ジャージー・ボーイズ(クリント・イーストウッド)「Jersey Boys」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆ジャージー・ボーイズ「Jersey Boys」
(2014年製作 クリント・イーストウッド監督、脚本:ジョン・ローガン
撮影:トム・スターン、音楽:フォー・シーズンズ、フランキーヴァリ
ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ヴィンセント・ピアッツア、クリストファー・ウォーケン、ジョニー・カニッアロ
レネー・マリーノ、エリカ・ビッチニーニ)
   
クリント・イーストウッド監督の素敵な作品。
「ミリオンダラー・ベイビー」以後の作品では、最も好きな作品。
リードヴォーカルのフランキーの家族のエピソードや、トミーの犯罪と借金のエピソードも交えながら、深刻な重々しいドラマとせず描いている。

1960年代にヒット曲を連発した「フォー・シーズンズ」の誕生から創設メンバーの離団そして20数年ぶりの復活ステージまでの軌跡を描いた作品で、ヒット曲が流れるご機嫌な映画となっている。
「シェリー」「瞳の面影」「君の瞳に恋してる」など懐かしい、お馴染みの曲が満載で、とにかくご機嫌になる。エンドタイトルの「シェリー」に併せて出演者が歌い踊るシーンには拍手喝采である。

クリストファー・ウォーケンが、フランキーを応援するマフィアのボス役で貫録の演技。舞台のミュージカル俳優出身ということもあって、ラストのダンスも器用に踊っていた。
チンピラ時代からの脚本は、主要なエピソードを中心に構成し、メンバーにボブ・ゴーディオが加入するきっかけや、ヒット曲が出るまでの活動内容、家族との絆が薄れていく過程やトミーが賭博等に手を出し借金を重ねていくエピソード、それが原因でメンバーが離れ離れとなり、フランキーがソロ活動する事情など手際よくみせてくれる。

映画を良く知っているクリントだからこその味わいで、特に激情型に盛り上げる演出ではなく、人生はいろいろあるものだよ とさらっと言っているような感じで、観終わった後が爽やかである。
次回作は「アメリカン・スナイパー」、アカデミー賞作品賞他6部門にノミネートされている。先日のテレビのインタビューで、アカデミー賞が大切なのではなく、多くの人に見てもらえることが大事だと言っていたのが、印象深い。
“毎日が映画日和” 90点

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

戦略大作戦「kell’sHeroes」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆戦略大作戦「Kelly!s Heroes」
(1970年公開 ブライアンG・ハットン監督 脚本:トロイ・ケネディ・マーティン、音楽:ラロ・シフリン、撮影:ガブリエル・フィガロア
クリント・イーストウッド、テリー・サバラス、ドナルド・サザーランド、キャロル・オコーナー、ハリー・デーン・スタントン、ドン・リックルズ、ハル・バックリー)
      
「荒鷲の要塞(68年)」に続いての、ブライアン・G・ハットン監督とクリントコンビの作品で、ドイツ軍の隠した1600万ドルの金塊を奪う大作戦争映画。結果としてドイツ軍から戦略拠点を奪うことにもなり、司令部のコルト将軍から褒められるというおまけつきで、反戦メッセージや湿っぽさのない痛快な戦争活劇となっている。

捕虜としたドイツ軍将校の持ち物から金塊を見つけた主人公ケリーが、将校から聞き出したドイツ軍の金塊を、あぶれ物の仲間達と一緒に奪う物語で隠し場所の銀行に到着するまでのエピソードがちょっとくどい感じもするが、戦争映画の隠れた傑作といってもいい作品。

テリー・サバラスが、キャラクターにぴったりの役柄で大ハッスル。刑事役や軍人、悪役などで知られるが「刑事コジャック」は、テレビシリーズで大ヒットした。「女王陛下の007(1969年)」で、プロフェルド役も演じている。

ドナルド・サザーランドが、凝りに凝った演技で画面をくぎ付けにする。銀行をドイツ軍の戦車に爆破させる場面では、ウエスタン調の音楽に乗って、クリント、サバラスと3人で歩く場面があるが、マカロニウェスタンのパクリなのか、ガンマンの真似をするサザーランドやコルト将軍演ずるキャロル・オコーナーがオーバー演技で笑える。

コメディアン出身のドン・リッケルが、装備の調達を担当する軍曹役で軽妙な演技。名脇役ハリー・デーン・スタントンも顔を見せている。

クリントが「ダーティー・ハリー」でスーパー・スターとなる前年の作品。1964年「荒野の用心棒」でセルジオ・レオーネとコンビを組んでから、「奴らを高く吊るせ(1968年)」でアメリカ復帰を果たし、売り出し中の時期の作品である。クリントの魅力満載とはいかないが、強奪を目論む二等兵役を淡々と演じていて楽しそうである。

ブライアン・G・ハットン監督は、監督作品数は少ないが、アリステア・マクリーン原作の「荒鷲の要塞」とこの作品が豪快な作風で楽しめる。どちらもクリントとのコンビ作品である。
“待市が映画日和” 75点

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

アウトロー「The Outlaw JoseyWales」 [イーストウッドを見逃すな!]

☆アウトロー「The Outolaw JoseyWales」
(1976年公開 クリント・イーストウッド 脚本:フィリップ・カウフマン、ソニア・シャーナス 音楽:ジェリー・フィールディング 撮影:ブルース・サーティス
クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、チーフ・ダン・ジョージ、ジョン・バーノン
ジュラルデン・キームス、サム・ボトムズ)
     
クリント・イーストウッドが、農夫から凄腕の早打ちとなって活躍する西部劇。
時代は1860年代、場所はミズーリ州、北軍に投稿する南軍に所属して負けた仲間を尻目に、
家族を殺された恨みから投降するのを拒み復讐を誓うガンマンにイーストウッドが扮し、
マカロニ・ウエスタンで、レオーネ作品に出演していた時のキャラクターと違い、凄味がある。

監督もイーストウッドで、要所々々にガンファイトを織り交ぜながら、社会から疎外された
人間同士が力を合わせ、最後は結束する姿を描いている。
孤高のガンマンは、イーストウッドの代名詞のような言葉で、この映画でも見事なガン裁きで、
少なめのセリフといつものイーストウッドがそこにはいる。今回は、二挺拳銃と噛みタバコを
アクセントにしている。

イーストウッド作品ではお馴染みの名カメラマン、ブルース・サーティスの撮影が哀歓を生み出
し、随所に名場面が写し出されている。移民を襲う無頼漢を撃退する場面では、綺麗な青空と太陽
を背に馬に跨るイーストウッドの姿を映しだし印象に残る。
挿入される音楽も場面を盛り上げていて、ジェリー・フィールディングは、この映画でアカデミー
賞作曲賞にノミネートされている。

冒頭のシーンは、「許されざる者」を連想させるような場面でもあるが、西部劇の醍醐味を十分
満喫できる娯楽映画となっていて、イーストウッドの演出能力の高さが証明されている。

ジョン・バーノンは、凄味の利いた悪役が似合う俳優で、この映画でも、イーストウッド他かつて
の部下たちを意に反して裏切ってしまい、イーストウッドの復讐心を煽る役柄を演じて、存在感
を出している。クリント作品では、「ダーティー・ハリー」に出演している。

ソンドラ・ロックは、この映画でイーストウッドと付き合うこととなったとのことだが、出演時
29歳とのこと、どうもイーストウッドは若い女性が好きなようで、彼女とはその後、多くの作品
でも共演し、12年後別れている。チーフ・ダン・ジョージが老インディアンを楽しそうに演じて
いる。135分が長く感じない、見どころ満載の映画。

“毎日が映画日和” 80点

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画
- | 次の10件 イーストウッドを見逃すな! ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。