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ダンス・ウィズ・ウルブス「Dances with Wolves」 [見逃すなこの西部劇!!]

☆ダンス・ウィズ・ウルブス「Dances with Wolves」
(1990年制作、ケヴィン・コスナー監督、脚本:マイケル・ブレイク、音楽:ジョン・バリー、撮影:ディーン・セムラー、原作:マイケル・ブレイク
ケヴィン・コスナー、メアリー・マクドネル、グレアム・グリーン、ロドニー・A・グラント)
    
1860年代、フロンティアという名目で侵入した白人に土地を奪われたインディアン(スー族)との交流を描いたアカデミー賞作品賞・監督賞(7部門受賞)受賞作品。
インディアン側の視点で描いていることと、白人は侵略者とであると明確な意図で貫かれている作品となっている。

バッファローは、インディアンの貴重な食料で部族が食べれる分だけで、満足なのだが、白人の商人たちが毛皮欲しさに無為な乱獲をしたことを批判的に描き、騎兵隊の隊員が奪われた土地を奪い返すというセリフがあるが、奪ったのは白人なのだということを意図する演出となっている。

1990年当時、アメリカ製西部劇は衰退していて、インディアンは白人に危害を加える悪人で、白人は善人という在り来たりの描き方では、観客にそっぽを向かれていたのだが(視点を変えた作品もあった)、3時間を超える長尺にも拘らず、従来と異なる視点から描いたこの作品は、全世界で4億ドルを超える大ヒットとなった。

ケビン・コスナーは、監督・主演を努め、監督賞も受賞していて初監督にして監督賞受賞という、偉業を達成している。当時トップスターとして君臨していて、リスクが高かったと思うが大成功を納めた。
しかし、その後製作者として関わった「ワイアット・アープ:Wyatt Earp;94」
「ウォーター・ワールド:Waterworld;95」は、巨額な制作費を投入したにも関わらず、上手くいかなかったことも有り、2000年以降は、助演等に徹し低迷するもの、ここ数年は、テレビ・映画共、佳作に主演し復活を予感させている。

撮影画面が綺麗、荒野のさまざまな景観、大自然の美しさを堪能させてくれる。アカデミー賞撮影賞を受賞したのも、うなずける美しさである。

家族を大切にし、仲間を大切にする先住民の生活、人との関わり合いを大切にするという生き方に共感する場面が沢山描かれている。
主題の斬新さと語り口の上手さは、初監督作品とは思えない演出振りで、ケヴィン・コスナーの豊かな才能を感じさせる。

まだ、60歳と若く、7年後再び監督した「ポストマン:The Postman;97」は、製作費の回収も出来ないような散々な結果となり、第18回ゴールデンラズベリー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、最低オリジナル歌曲賞を受賞する。
2003年、再び西部劇に挑んだ「ワイルド・レンジ:Open Range;03」は、本格的な西部劇で、凄まじい銃撃戦とロヴァート・デュバルの演技が印象に残る傑作で、アメリカでもヒットし、ケヴィン・コスナーの監督としての才能を再び世に知らしめた。その後、監督作品はなく、そろそろ新作を期待したところ。

先住民の会話が、彼らの言語で語られる(それもほとんど全編)という作品は珍しく、メイク技術が発達した所為か、白人俳優が先住民を演じても、違和感なく、先住民らしく描かれていて、見応え十分の作品だった、181分という長さが、あまり気にならなかったのは、作品の力かも知れない。

“毎日が映画日和” 80点


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シャラコ「Shalako」 [見逃すなこの西部劇!!]

☆シャラコ「Shalako」
(1968年制作、エドワード・ドミトリク監督、脚本:J・J・グリフィス、ハル・ホッパー、スコット・フィンチ、撮影:テッド・ムーア、音楽:ロバート・ファルソン、
ショーン・コネリー、ブリジット・バルドー、スティーブン・ボイド、ジャック・ホーキンス、ピーター・ヴァン・アイク、オナー・ブラックマン、ウッデイ・ストロード)


   
異色のウェスタンで、ショーン・コネリーが、西部劇初出演にして、西部劇最後の出演でもある。
1880年代ヨーロッパから、インドやアフリカへ行くのと同じような感覚で、ニューメキシコ州にハンティング旅行に来た貴族の一行が、アパッチに追われるという作品。

アパッチに追われる理由は、取り決めた協定を破り白人がアパッチの領土に侵入したことが原因で、インディアンとの諍いの多くは、バッファローを乱獲する白人への反発と領土を取り決めたにも拘らず開発に名を借りた侵犯を繰り返す白人への反発だった。インディアン側から、取り決めた協定を破ったことはほとんどないというのが、西部劇の真実である。

横暴で横柄なヨーロッパ人のインディアンに対する偏見が、根底にあるものの一行の過信もあり、シャラコ(ショーン・コネリー)の忠告にも耳を貸さず、襲撃を受けることとなる。
案内役のボスキー(スティーブン・ボイド)たちは、貴族を見捨て自分達だけ逃走するが、残された貴族たちは、戻ってきたシャラコとともに、徒歩で脱出する。

馬と馬車で逃走したボスキーたちは、アパッチに見つかり襲撃され全滅するが、ボスキーだけは抜け目なく逃げ、シャラコ達に合流する。
インディアンから逃れるため、300メートルほどの山を登るという設定で、
ヨーロッパで山登りを経験している貴族たちが、ロック・クライミングで活躍する珍しい場面もあるものの、脚本に面白味が無く、辻褄の合わないことだらけ。

貴族の一行として、ブリジット・バルドー、オナー・ブラックマンが、出演。
ブリジット・バルドーは生涯3本の西部劇に出演しており、その中の1本で、当時34歳とキュートな魅力は既になく、化粧が濃いのが気になった。
オナー・ブラックマンは、ショーン・コネリーとは「007ゴールド・フィンガー:Goldfinger」で共演しているが、今作品では貴族の奥様役で、物足りない夫を捨て、ボスキーについて行く役を演じ、最後はアパッチに殺されてしまい、ちょっと勿体なかった。

ジャック・ホーキンス、ピーター・ヴァン・アイク、スティーブン・ボイド、アレクサンダー・ノックス等のベテランが、脇を固める重厚な布陣なのだが、何とウッディ―・ストロードが、黒人のアパッチ、チャト役を演じている。
過去の西部劇でも黒人のインディアンは、観たことが無く、この作品はそういう意味ではレアものである。

物語りの設定、キャスティング、監督の実績等は文句ないのだが、何かが不足している映画で、編集(時間の経過が良くわからない)、構成がよく無かったように思う。締りのない映画で、最後の決着(シャラコとチャトの対決)も、拍子抜けする演出で、爽快感が無いのが残念だった。
ショーン・コネリーが、007を降板した翌年の映画だったが、残念ながら出来としては良くない。(3年後、007に復帰する)
“毎日が映画日和” 70点


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荒野のストレンジャー「High Plains Dnfter」 [見逃すなこの西部劇!!]

☆荒野のストレンジャー「High Plains Drifter」
(1972年制作、クリント・イーストウッド監督、脚本:アーネスト・タイディマン、撮影:ブルース・サーティス、音楽:ディ―・バートン
クリント・イーストウッド、ヴァ―ナ・ブルーム、マリアンナ・ヒル、ジェフリー・ルイス、ミッチェル・ライアン、ジャック・ギン)
   
イーストウッド監督・主演作品で、西部劇の監督を初めて務めた作品である。
保安官時代に鞭で襲われた保安官が、再び戻ってきて復讐を果たし、その時誰も助けてくれなかった町民にも復讐を果たすというストーリー。

イーストウッドは、この映画を3週間で撮りあげたとのこと。
イーストウッドのガンマン役を楽しむ映画で、西部劇で客を呼べる最後のスターを楽しむ映画となっている。
ふらりと現れた名無しのガンマンという役柄は、マカロニ・ウェスタン出演時と同じ設定だが、この作品では過去に因縁のある三人組のならず者や町民を翻弄する役柄となっている。

自分達は汗を流さず、流れ者のガンマンやならず者にもめ事を任せるという町民達の悪賢さが全て裏目に出てくる当たりも、興味深い脚本となっている。
町の建物を全て赤いペンキで塗り潰したり、鞭を上手く生かしたりと、エキセントリックな演出も取り入れて、ちょっと変わった雰囲気の映画となった。

出演する女優を観ているとイーストウッドの好みがわかり、興味深い。この映画では、2人の女優を無理やり押し倒し関係を持つという、イーストウッド映画としては珍しいシーンも出てくる。
イーストウッド映画の常連、ジェフリー・ルイスが、ならず者の一人で出演。

あまり複雑なストーリーではなく、わかり易い映画で、イーストウッドとしては監督2作目ということで、重々しい映画とはなっておらず、過去の出演作品の経験を生かしながら、監督として経験を積む作品となっている。

“毎日が映画日和” 70点


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テキサスの五人の仲間「Big Deal at Dodge City」 [見逃すなこの西部劇!!]

☆テキサスの五人の仲間「Big Deal at Dodge City」
(1966年制作 フィルダ―・クック監督 脚本:シドニー・キャロル、撮影:リー・ガームス
音楽:デヴィッド・ラクシン
ヘンリー・フォンダ、ジョアン・ウッドワード、ジェィソン・ロバーツ、バージェス・メレディス、チャールズ・ビッグフォード、ケヴィン・マッカーシー、ジェラルド・ミチェノート)

     
銃撃戦のない西部劇の傑作で、シナリオの勝利。部類のポーカー好きな夫役のヘンリー・フォンダ、おろおろしながらも気丈な妻役のジョアン・ウッドワードが、仲間と一緒に最後には大逆転劇を演ずる痛快な映画で、見終わった後に思わず笑みがこぼれる映画である。映画ファン必見の1本。

この手の映画では、「スティング(1973年)」が思い浮かぶが、この映画は「スティング」の7年前に制作されている。
1年に1回の掛け金が大きなポーカー賭博を舞台に、詐欺師の一味が丁々発止の駆け引きの末、大金を手にするという物語で、騙しの手口が楽しい。
子供を上手く使い、気丈な妻役をジョアン・ウッドワードが好演。
ジェイソン・ロバーツやバージェス・メレディスなどの個性豊かな演技派が脇を固めている。

この映画の最も優れているのは、”アイデア”でポーカーの役手(やくて)で、銀行から借り入れをするというのは、何とも意表を突くアイデアである。
結局最後の手札は何だったのかは関係なく(結局、明かされない)銀行の頭取がお墨付きを与え、レイズ(賭け金を上げる)するということで、相手は勝負から降りてしまうという筋立てで何とも楽しい映画である。

ジョアン・ウッドワードは、言わずと知れたポール・ニューマン夫人で、アカデミー賞を獲得している実力派女優。ヘンリー・フォンダは、ポーカーが好きでたまらず、深みにはまるという役を楽しんでいる様子。ジェイソン・ロバーツが自宅へ帰り、結婚式を待っていた娘の相手を追い出す場面が面白い。よく出来た映画で理屈抜きに楽しい。

“毎日が映画日和” 90点

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墓石と決闘「Hour of the Guns」 [見逃すなこの西部劇!!]

☆墓石と決闘「Hour of The Guns」
(1967年制作 ジョン・スタージェス監督、脚本:エドワード・アンハルト、撮影:ルシアン・バラード、音楽:ジェリー・ゴールドスミス  ジェームズ・ガーナ―、ジェイソン・ロバーツ、ロバート・ライアン、ジョン・ボイド、フランク・コンバース、サム・メルビル)


スタージェス監督は、1957年にワイアット・アープ主人公の名作「OK牧場の決斗」を監督している。その後のアープとクラントンとの決着までを今回作品とした。

スタージェス監督と言えば、「大脱走」「荒野の七人」などのヒット作が知られる監督で、この映画もスタージェスの傑作映画となっている。ジェームズ・ガーナ―とジェイソン・ロバーツが、共にダンディで素晴らしく、男の友情がテーマといってもいいような作品で、ハードボイルドタッチが香る男臭い映画に仕上がっている。

ジェリー・ゴールドスミスの音楽が場面、場面にフィットし演出を盛り上げ、ルシアン・バラードの格調高いカメラワークも重厚感を出しながらも綺麗ですっきりしている。
     
先ごろ亡くなった(7月19日)ジェームズ・ガーナ―だが、弟たちの復讐に燃える保安官役を男らしく凛々しく演じて見応え十分、演技派としての実力を発揮している。
これまた大好きなジェイソン・ロバーツが、ドク・ホリディ役を好演。「大統領の陰謀」「ジュリア」で、1976年・77年と2年連続アカデミー助演男優賞を受賞している実力派で、セルジオ・レオーネの「ウエスタン」サム・ペキンパーの「ケーブル・ボーグのバラード(砂漠の流れ者)」など印象深い。

2人共、数多くの映画に出演しているが残念ながらDVD等の発売も少なく、作品のほとんどを見ることができないのが残念。出演作品を揃えたい俳優達である。
敵役が、出番は少ないがこれまた渋い玄人好みのロバート・ライアンが演じており、この3人の出演で映画が締まった感じがする。

スタージェスはさすがの演出で、ツボを心得たストーリー展開、無駄な描写がほとんどなく、最後の1対1の決闘シーンまで一気呵成に見せる。撮影のルシアン・バラード(30年代~70年代まで活躍)、音楽のジェリー・ゴールドスミス(生涯170作品以上の音楽を担当)との息もぴったりと言ったところではないだろうか。女性が出演する場面は、ほとんどなく正に男の映画である。 
  
”毎日が映画日和” 大好きな映画で、90点!
  

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