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バルカン超特急「The Lady Vanishes」 [ヒッチコックタッチをご覧あれ!]

☆バルカン超特急「The Lady Vanishes」
(1938年制作、アルフレッド・ヒッチコック監督、脚本:シドニー・ギリアット、フランク・ラウンダー、音楽:ルイス・レヴィ、チャールズ・ウィリアムズ、原作:エセル・リナ・ホワイト
マーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレイブ、メイ・ウィッティ
ポール・ルーカス、ノートン・ウェイン、ベイジル・ラドフォード)
   
バルカン超特急とは、オリエント急行のことなのだが、この作品は架空の国バンドリカが舞台で、明確にオリエント急行と解るような場面はない。
ヒッチコックが、イギリス時代に製作した映画としては後期の作品である。

ユーモアとサスペンスを随所に散りばめ、消えた老女の謎を解き明かし、仮想敵国の陰謀から逃れるまでを描いた秀作である。
仮想敵国とは、ドイツを想定していたことは、ドイツ語を話すことで創造できるし、後半列車を襲う軍人達の軍服がドイツ軍の物とそっくりなことからも容易に想像できる。製作当時のヨーロッパの政治状況が、垣間見える設定となっている。

ヒロイン役のアイリス(マーガレット・ロックウッド)は、ロンドンへ向かう列車車内で、ホテルでも一緒だった老婦人フロイ(メイ・ウェッティ)と同室で、頭に花入れが落ちてきてショックが残っていたアイリスが目覚めたら、フロイが消えていたことから、アイリスのフロイ探しが始まるという物語。

ホテルで些細なことでいがみ合ったギルバート(マイケル・レッドグレーブ)が協力し、老女と接触した乗客が、それぞれの事情で見ていないという中で、
諦めず、探し続けついに見つけ出し救出する。
ヒッチコック得意の偶然の重なり合いの積み重ねが、サスペンスを盛りあげ物語を面白くする。

ミス・フロイは実は、英国のスパイだったということが明かされるのだが、
その後は、銃撃戦があり列車での脱出とたたみかける演出は、流石ヒッチコックでハッピーエンドが心地よい。
謎めいた同乗者、仮想敵国の任務を帯びた医師、クリケット好きの英国人紳士、不倫のカップルなどキャスティングも絶妙で、楽しい演技を見せてくれる。
映画を知り尽くしたヒッチコックは、この作品の2年後ハリウッドへ移り、「レベッカ:Rebecca」で、アカデミー賞監督賞候補となり、“映画の神様”と呼ばれるまで昇りつめた。

名作は数多く、5度監督賞にノミネートされるもヒッチコック自身は、アカデミー賞とは最後まで縁が無かった。とにかく、面白い作品作りにかけては右に出る監督はいないといっても過言ではなく、多くの映画人に影響を与えた才人である。

“毎日が映画日和” 85点


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サイコ「Psycho」 [ヒッチコックタッチをご覧あれ!]

☆サイコ「Psycho」
(1960年製作、アルフレッド・ヒッチコック監督、脚本:ジョセフ・ステファノ、撮影:ジョン・L・ラッセル、音楽:バーナード・ハーマン、原作:ロバート・ブロック
アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ヴェラ・マイルズ、ジョン・ギャバン、マーティン・バルサム、ジョン・マッキンタイア、サイモン・オークランド、パトリシア・ヒッチコック、モート・ミルズ)
    
サスペンス・スリラーの傑作で、多重人格の精神異常者を表す“サイコ”という言葉は、この映画の大ヒットによって世界的に知れ渡ることになる。
余りにも有名な作品で、ヒッチコック監督の最高傑作と称される作品である。

原作は、ロバート・ブロックの同名小説で、永遠の青年俳優と謳われた、アンソニー・パーキンスが、主人公の多重人格者ベイツを演じる。
主人公の人物像は、過度のマザーコンプレックスで、一見普通の好青年に見えるベイツモーテルの経営者という設定、不動産会社の社員マリオン(ジャネット・リー)が、恋人サム(ジョン・ギャヴィン)の住む街へ行こうと会社で預かった4万ドルを持ち、ベイツのモーテルに宿泊することから、マリオンを殺害することになる。

殺害の理由は、マリオンに魅かれたベイツに対し、母親が反対するからで、母親は実は10年前に殺されており、ベイツの中に潜む母親の人格が、彼を否定するというストーリー。
また、マリオンの行方を追う私立探偵アーボガスト(マーティン・バルサム)も、捜索の途中ベイツの餌食となり殺される。

マリオンの妹とマリオンの恋人サムが、謎を解明しようとモーテルへ出かけ、ベイツの秘密を知ることになるという、超一級のサスペンス・スリラーである。

監督のアルフレッド・ヒッチコックは、1925年英国で初監督作品を手懸け、1939年「岩窟の野獣:Jamaica inn」まで英国で作品を発表し続け、多くの名作を発表している。

1940年「レベッカ:Rebecca」から1976年「ファミリー・プロット:Family Plot」まで、30作品はアメリカ資本で制作され名作・傑作揃い、“サスペンスの神様”と呼ばれる巨匠となった。
(1944年2作品はプロパガンダ作品は除外)
英国時代とアメリカ時代と分けて評論されることが多いが、ヒッチコックの語りのうまさとサスペンスの盛り上げ方は、英国時代もアメリカ時代も変わらず、観客を魅了する。

この作品は、観客を驚かせることの大好きなヒッチコック監督の満面の笑みが想像できるような会心の作品で、ジャネット・リーが、車で逃走するシーンで、サングラスの警察官の不気味な怖さは、うしろめたいというマリオンの深層心理を突いてくるし、観客にもその気持ちが伝わってくる名場面となっている。

ベイツのモーテルの事務所で、鳥の剥製と出会うシーンでは、映画の後半の展開を予測させる猟奇的な雰囲気を醸し出す演出となっている。
バーナード・ハーマンの音楽が、ショッキングさを演出し、特にシャワー室で、殺されるシーンは、ジャネット・リーの悲鳴、凄惨なシーン、映画史に残るシーンでもある。

アメリカでは、サスペンス作品は格下扱いで、またヒッチコックのハリウッド関係者との付き合いの悪さもあって、アカデミー賞監督賞に5度ノミネートされるが、受賞はしていない。
多くのファンに評価される監督だが、評論家や映画関係者には、あまり評価は高くなかったようで、変わり者というイメージで、観られていたようである。

映画関係者の評価はどうあれ、面白い作品を沢山残した監督で、その功績は揺るぎ無い。「バルカン超特急:The Lady Vanishes」「三十九夜:The 39 Steps」「レベッカ:Rebecca」「疑惑の影:Shadow of a Doubt」「汚名:Notorious」「パラダイン夫人の恋:The Paradine Case」「ダイヤルMを廻せ:Dial M for Murder」「裏窓:Rear Window」「泥棒成金:To Catch aThief」「めまい:Vertigo」「北北西に進路を取れ:Notyh by Northwest」「鳥:The Birds」「マーニー:Marnie」「フレンジ―:Frenzy」等々
映画ファンならずとも、その面白さに満足すること間違いなしの作品揃いである。

“毎日が映画日和” 100点(ヒッチコックに敬意を表し満点!!)


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鳥「The Birds」 [ヒッチコックタッチをご覧あれ!]

☆鳥[The Birds]
(1963年公開 アルフレッド・ヒッチコック監督、エヴァ・ハンター脚本、撮影:ロバート・バークス、音楽:音教効果と電子音による)
ティッピー・ヘドレン、ロッド・テ―ラ―、ジェシカ・ダンディ、スザンヌ・プレシエット)

さまざまな特殊効果が使われた映画で、当時としては最新の技術を駆使したことと思われる。
鳥が人間を襲うというだけでも、怖いのに、集団で大量に襲ってくるのだからたまらない。
着想(アイデア)で映画の成功は保証されたようなもの。脚本は、小説家エド・マクベイン(アメリカの作家で87分署シリーズ)で、ヒッチコックとかなり話し合いの上、ストーリーが練られたとのことである。

原作とは設定が違い、映画では鳥が人間を襲う理由は明記されていないが、原作では寒さによる餌の激減とのこと。主人公も4人の家族ということのようだ。
原作との違いは、映画の出来栄えを見る限り問題なく、まさに傑作である。

どのように撮影したのかと今でも不思議に思える臨場感と、迫りくる恐怖は凄まじい。最初にこの映画を見た人たちは、驚愕したに違いないし、やってくれたとにやりと微笑んだに違いない。

驚かせたり、にんまりさせることの好きなヒッチコックならではの映画で、ヒロイン役のティッピー・ヘドレンが、モデル出身のその美貌をいかんなく発揮している。ヒッチコックはかなりご執心のようだたらしいが、次回作の「マーニー」で、ヘドレンの出演は終わっている。ロッド・テイラーは、男らしい風貌で主演映画も多いが後年は、脇役等で活躍した俳優、タフネス振りが売りでB級映画等で活躍した。(2015年1月84歳で死去 合掌!!)
”鳥”は出演作の中で、最大のヒット作ではないだろうか。

世界中でヒットした映画で、電線にズラリと並びくちばしや首を動かす烏を見ていると恐怖感が増し身震いする。見せ方も実にうまい。
ヒットメーカーのヒッチコックの研究が盛んだが、最近の映画「ヒッチコック」を見ると女優にかなりご執心らしく、グレース・ケリーやヘドレンには嫌われたらしい。事実はともかく、映画としては良く出来ていて怖さも十分で、スリラー映画の一級品である。

 “面白くなければ映画じゃない” 文句なく100点です  
   
    

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北北西に進路を取れ「North by Northwest」 [ヒッチコックタッチをご覧あれ!]

☆北北西に進路を取れ「North by Northwest」
(1959年公開 アルフレッド・ヒッチコック監督、アーネスト・レーマン脚本、撮影:ロバート・パークス、音楽:バーナード・ハーマン   ケーリー・グラント、エバ‐・マリ‐セイント、ジェームズ・メイソン、マ‐ティン・ランドー、レオ・G.キャロル、ジェシー・ロイス・ランディス)

政府機関の情報を売り渡す組織に架空のスパイを送り込み、実際に活動しているように工作をしている際に、架空のスパイに主人公が間違いられ、手に汗握る活躍を見せる活劇巨編。
140分を飽きることなく見せきる、ヒッチコックタッチ満載の映画。

当時007を制作するかどうかの判断基準となった映画らしく、この映画の成功をヒントにして、世界は“007”と50年以上付き合うこととなるのである。
映画は、ケーリー・グラントのどことなくユーモアを含んだセリフや、場面が次々と変わる設定の面白さもあって、緊張感みなぎる映画というよりは、カラッとした明るいサスペンスとなっている。

グラントは、ヒッチコック映画では、「断崖」「汚名」「泥棒成金」でも主演を演じていて、ジェーン・フォンティーン、イングリッド・バーグマン、グレース・ケリーと仕事とはいえ絶世の美女たちと共演している。うらやましい限りだが、実生活では8度結婚とのこと、いやはやご苦労様。

ハリウッドを一斉風靡した俳優で、ゲーリー・クーパー、クラーク・ゲーブルと並び称されるが、最もソフトでロマンチック・コメディが似合う俳優である。そういえば、ケーリー・グラント主演の西部劇はあっただろうか。
    
ヒロイン役のエバー・マリー・セイントは、この映画出演の時は、35歳と匂うような色気と独特の顔立ちが魅力的な女盛り。「波止場」で映画初出演にしてアカデミー賞を獲得している。あまり映画出演はないが、テレビ等も含め長く活躍した女優さん。
ジェームズ・メイソンは、若かりし頃の映画「邪魔者は殺せ」から、後年の「評決」などありとあらゆるジャンルの映画に出演する名優で、今回も存在感のある役を演じて見応えある演技を披露。マーティン・ランド―やレオ・G・キャロルなどが脇を固めている。

マウント・ラシュモアでのラストシーンは、もう少し迫力がほしかったが、全体的に面白い映画となっていて退屈することはない。007の先駆けとなった映画で歴史的価値の高い映画として記憶に留めたい。
“映画はみんな面白い” 90点

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